NASHについて語ろう!— 誰もが待っている医薬品の機会
トーマス・ゲニナッティ氏(博士(PhD))
NASHを治療するための競走。現在、数名の有望な志願者達が、数十億円単位のビジネス競争を繰り広げています。世界では、何百万人もの患者がNASH、または非アルコール性脂肪肝炎という病に冒され、2020年までには、その罹患者数がC型肝炎を押さえ、アメリカ全土における肝移植原因の第一位に躍り出ると見込まれています。
複合創薬デベロッパーたちがこれに挑み、現在、この複雑で静かな疾病に取り組むため、様々な異なるアプローチがなされています。今まさに、この多大な利益が生まれるであろう未踏のマーケットに、一体誰が最初にゴールのテープを切るのか、注目が集まっています。
NAFLDの全体像を理解する
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、アルコールをほとんど飲まない、もしくは全く飲まない人の肝臓に過剰の脂肪が蓄積する特徴を持つ障害の総称を言います。NAFLDは、世界で最も一般的な、慢性の肝臓の症状で、世界の有病率は、 25.2.%4 と推定されています。米国では、NAFLDは慢性肝疾患の最も一般的な病態で、慢性肝疾患のおよそ4分の1の患者が罹患しています。2017年では、NAFLDに関連する直接生涯コストは、222.6億ドルにも及び、その内95.4億ドルは非アルコール性脂肪肝炎(NASH)で知られる進行性の肝疾患が占めています。
リスクに晒されているのは誰?
肥満、2型糖尿病、高トリグリセリド血症、インスリン耐性や高血圧を含んだ幅広い疾患や症状で、NAFLDのリスクは上がりうると言えます。実際に、研究でNAFLDは最大70%に及ぶ糖尿病患者に見られると示されています。
NASHとは何か?
最大で30%にも及ぶNAFLD罹患者が、より進行性の肝疾患であるNASHに発展するでしょう。NASHは、脂肪肝に加え、肝細胞の風船様変化や炎症を伴います。約20%のNASH罹患者は肝臓の瘢痕(線維症)を発展させていき、肝機能に影響が出るに十分な深刻な状態となり、そして肝硬変や肝臓ガンのリスクを上げていきます。
全体的に見ると、世界のNASH有病率は、1.5%から6.5%と推定されており、これから先、数年は肝臓移植の主要な指標になると予測されています。
著者について

トーマス・ゲニナッティ氏(PhD)
トーマス・ゲニナッティは、ロサンゼルス支店を拠点とするディアラスのコンサルタントです。彼は、オンコロジー、免疫学オンコロジー、血液学、肝疾患や自己免疫疾患を含んだ様々な療法領域において重要な経験を持ちます。ライフサイクルの初めから終わりまでの生産管理への独自の理解と認識を示すことで、クライアントに価値のある分析を提供します。
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